なぜ食品ロスが地球温暖化につながるのか?

以前のコラムで、宇宙から見た地球規模での温室効果ガス(GHG)モニタリング(https://biprogy-gx.com/column/259/)のお話をしました。今回のコラムは、身近な話題である「食品ロス」と地球温暖化・温室効果ガス(GHG)排出の関係についてのお話です。
食品ロスというと、スーパーやコンビニなどの売れ残り、レストランなどの食べ残し、家庭で調理しようと購入した食材の賞味期限切れなどをイメージされると思います。このコラムでは、改めて食品ロスの現状を知ること、食品ロスが与える地球温暖化・温室効果ガス(GHG)排出への影響についてご紹介します。食品ロスを減らす方法や、食品ロスに学ぶ温室効果ガス(GHG)削減方法について、理解を深めましょう。
この記事で分かること
✓食品ロスの現状
✓食品ロスが与える地球温暖化・温室効果ガス(GHG)排出への影響
✓食品ロスを減らす方法
✓食品ロスに学ぶ温室効果ガス(GHG)削減方法
✓はじめの一歩をEcoLumeではじめてみませんか?ここで問題です。食品ロスはどのぐらいの量なのか知っていますか?
答えは、農林水産省によると、「FAO(国際連合食糧農業機関)の報告書によると、世界では食料生産量の3分の1に当たる約13億トンの食料が毎年廃棄されています。」とのこと。
さらに、「日本でも1年間に約612万トン(2017年度推計値)もの食料が捨てられており、これは東京ドーム5杯分とほぼ同じ量。日本人1人当たり、お茶碗1杯分のごはんの量が毎日捨てられている計算になります。」とのこと。
農林水産省によると、「食品ロス」とは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。さらに食品ロスは、事業活動を伴って発生する「事業系食品ロス」と、各家庭から発生する「家庭系食品ロス」の2つに分けられます。
農林水産省の2023年度(令和5年度)データでは、日本の年間食品ロス量は464万トン、日本人1人当たり食品ロス量は、年間約37kg、1日約102gです。事業系と家庭系の内訳は、事業系食品ロス231万トン、家庭系食品ロス233万トンで、合計464万トンとなります。このうち、事業系食品ロス削減の目標は、2030年度までに60%削減です(2000年度比)。つまり、200年度547万トンだったものを、2030年度までに219万トンに減らす目標です。
3分の1の食品が捨てられていると聞いて思いつくのは「もったいない」です。食べられるのに捨てられてしまう食品が3分の1もあるのは、昨年の令和の米騒動や食品の物価高騰のおり、とてももったいないと感じています。例えば、コンビニでおにぎりを2個買って食べる際に、おにぎり1個を、毎日毎日捨てていることになります。ちなみに、この言葉「もったいない」は、日本から生まれ、世界共通語(MOTTAINAI)になったとのこと。
参考:
農林水産省 食品ロスとは
農林水産省 食品ロスの現状を知る 2020/10
農林水産省 食品ロスの現状を知る 2025/10
食品ロスが与える地球温暖化・温室効果ガス(GHG)排出への影響
ここでは、3分の1の食品が捨てられている食品ロスが、地球温暖化やその原因となっている温室効果ガス(GHG)排出へどのように影響を与えているかについてお話します。
想像してみてください。コンビニでおにぎりを2個買って食べるまでに、原材料であるお米を育成し収穫します。そのお米を運び貯蔵します。お米からご飯を炊いておにぎりにします。出来上がったおにぎりをコンビニ店頭まで運び、商品棚に陳列します。すべての工程においてエネルギー(ガソリンや電気など)を使います。そのたびに温室効果ガス(GHG)が排出されます。お米以外のお肉・お魚・野菜・卵・牛乳などの食材も同様で、その食材を加工・流通させた食品も、何かしらの温室効果ガス(GHG)を排出しています。
さらに食品ロスによって捨てられた廃棄物を処理するには、焼却処理(約8割の市町村は生ごみを可燃ごみとして収集している)や埋立処理が行われます。食品を焼却するために燃料を燃やします。食品には多くの水分を含むため(約8割が水分ともいわれている)、通常のごみを燃やすより多くの燃料を必要とし、より温室効果ガス(GHG)を多く排出します。また、埋立処理ではメタンガスが発生します。そのメタンはCO₂よりも温室効果の影響が約25倍も大きいです。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査報告によると、2023年度(令和5年度)日本の年間食品ロス量は464万トンに対する温室効果ガス排出量の推計結果は1,050万トン-CO₂です。FAO(国際連合食糧農業機関)の報告書によると、食品ロスによる温室効果ガス(GHG)排出量は、全体の8~10%を占めるとのこと。
参考:
Kuradashi 食品ロスが環境問題にどう影響する?地球温暖化が加速する理由とは 2025/12/02
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 令和7年度 食品ロスによる経済損失及び温室効果ガス排出量に関する調査業務 調査報告書 2025/8
FAO(国際連合食糧農業機関) Food Loss and Food Waste(食品ロスと食品廃棄)
食品ロスを減らす方法
ここでは、食品ロスの温室効果ガス(GHG)排出量が全体の8~10%を占めることを理解したうえで、食品ロスを減らす方法をみていきます。農林水産省・環境省は、以下の取組みを推奨しています。毎日の小さな取組みの積み重ねが大事とのこと。
家庭での取組み
(1)買物前に食材をチェックしておく
(2)必要な分だけ買う
規格外野菜を活用した商品の購入は、野菜の廃棄の減らしにつながる
(3)期限表示を知って賢く買う
すぐに食べるものは、てまえどり。すぐたべくん。
(4)適切に保存する
(5)食材を上手に使い切る(皮などを過剰除去しない)
(6)食べきれる量を作る
あまった食品を福祉施設や子ども食堂へ届けるフードドライブ
外食での取組み
(1)食品ロス削減に取り組むお店を選ぶ(量を選べる、食べ残しを持ち帰り可)
飲食店で食べ残した料理を持ち帰る行為の愛称=mottECO(モッテコ)
(2)食べられる分だけを注文する(ハーフサイズなど)
(3)食べきる意識を持つ(シェアする、持ち帰りする)
宴会での取組み(3010運動)
(1)味わいタイム(スタート30分は出来立て料理を味わう)
(2)楽しみタイム(親睦を深め、箸も動かす)
(3)食べきりタイム(お開き10分前は料理を改めて味わう)
廃棄での取組み
(1)水分を絞って捨てる(焼却のエネルギーを少なく)
(2)乾燥させてから捨てる(新聞紙で包んで水分を蒸発させる)
(3)コンポストに入れる(堆肥として活用する)
食品関連事業での取組み
(1)食品リサイクルループ(食品ロスを飼料・肥料に循環・活用する)
参考:
農林水産省 食品ロスの現状を知る 2025/10
環境省 エコジン(ecojin) 「もったいない」だけじゃない、食品ロスと環境問題
食品ロスに学ぶ温室効果ガス(GHG)削減方法
ここでは、食品ロスに学ぶ温室効果ガス(GHG)削減方法を見ていきましょう。食品ロスは廃棄物が目の前に現われるのでイメージしやすく、計量もしやすいです。しかし、CO₂など温室効果ガスは目に見えずイメージするのが難しいのが難点です。食品ロスを減らす考え方や方法が、化学製品の製造現場においても役に立つ気づきがあると思います。
家庭での取組みにおいて、冷蔵庫や食糧庫にすでにある食材の量を把握して購入することが大切です。製造現場でも購入原料や用役を過不足なく調達するようにしましょう。適量であることが無駄な温室効果ガスの発生を防ぎます。
また、家庭での取組みにおいて、調理過程で無駄なゴミ(皮や野菜くず)を出さずに食材を余すことなく使い切ることが大切です。製造現場において調達後の購入原料や用役を有効に活用して製品を作りましょう。廃棄物をより少なくすることで、無駄な温室効果ガスの発生を防ぎます。
外食での取組みにおいて、食品ロス削減に取り組むお店を選び、その恩恵を受けることが大切です。製造現場でも調達先のサプライヤー選定において温室効果ガス削減に取り組む企業を選ぶことや、温室効果ガスの排出量や排出係数などデータ(1次データ)を連携してもらうことが大切になります。社会全体やサプライチェーン全体で環境に優しい方へ舵を切ることが大切です。
廃棄での取組みにおいて、焼却処分する際に余計なエネルギーを使わないように水分を絞る・乾燥させることが推奨されています。製造現場でも製造過程で発生する廃棄物の処理にかかるエネルギー少なくし、温室効果ガスがより少なくなるように、処分方法を変更することや前処理を入れるようにしましょう。
食品関連事業での取組みにおいて、食品を消費者に届けるものの、どうしても廃棄せざるを得ない場合、リサイクルや循環させることで、廃棄物をゴミとして扱うのではなく、次の価値へつながる原料として活用しています。製造現場でも使用者が使用後に廃棄することろまでを考慮に入れて、リサイクルや循環が回る仕組みを導入することを考えましょう。
食品ロス削減は廃棄物をより少なくすることで実感が伴います。例えば、これまで1週間に1回ゴミ袋がいっぱいになっていたものが、2週間や3週間になれば食品ロスが削減されていることを実感することができます。CO₂は無色透明で臭いもしません。なので、温室効果ガス削減に向けては「見える化」が最初の一歩となります。「もったいない」と思う気持ちから、小さな一歩をはじめましょう。
はじめの一歩としてEcoLumeではじめてみませんか
この記事では、身近な話題である「食品ロス」と地球温暖化、その原因となっている温室効果ガス(GHG)排出について紹介しました。いきなり食品ロスをゼロにすることはできません。ただし、食品ロスを「もったいない」と思い、小さな取組みを積重ねることで、徐々に効果が表れてくると思います。その結果、食品ロスによる温室効果ガス(GHG)排出自体も小さくなります。また、食品ロスによって発生する廃棄物(生ごみ等)の処分に必要となる輸送や燃焼・埋立による温室効果ガス(GHG)排出も減らすことができます。
化学製品の製造現場において温室効果ガス(GHG)の排出削減する際に、食品ロス削減の取組みを参考に、温室効果ガス(GHG)の見える化からはじめてみませんか。
カーボンフットプリント(CFP=Carbon Footprint of Products)は、製品やサービスにおける原材料調達から使用、廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガス(GHG=GreenHouse Gas)排出量を、CO₂排出量に換算して数値化したものです。これにより、環境負荷を可視化し、削減に向けた指標とすることができます。自社のCFP算定を始めるために、もし、CFP算定の知見や人的リソースが無い、化学業界特有のプロセスが難しい、作業負担が大きく手が回らないなど、CFP算定に関わるお悩みがあれば、化学品向けCFP算定支援サービス「EcoLume」で始めてみてはいかがでしょうか。
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